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経理フリーランスのメリット・デメリットとは?知っておくべきポイント

公開日:2025/07/08

最終更新日:2025/07/08

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近年、働き方の多様化が進むなか、「経理フリーランス」という選択肢に注目が集まっています。リモートワークの普及やクラウド会計ソフトの進化により、企業に属さずに個人として経理業務を請け負うスタイルが現実的な選択肢となってきました。

この記事では、経理フリーランスとしての働き方の特徴、メリットとデメリット、始める前に知っておくべきこと、そして今後の市場動向までを網羅的に解説します。

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経理フリーランスとは?

経理フリーランスとは、企業や会計事務所などの組織に属さず、個人事業主として独立し、クライアントごとに経理業務を請け負う働き方を指します

取り扱う業務は、記帳代行、月次・年次決算、給与計算、請求書発行、税務書類の作成補助など多岐にわたり、会計や財務の知識・スキルを活かせる職種です。

クラウド会計ソフトの進化やテレワーク環境の整備により、地理的な制約なく業務を受けられる点も大きな特徴です。副業として始める人もいれば、フルタイムの独立開業を目指す人もいます。

経理フリーランスのメリット

経理フリーランスのメリットは以下の通りです。

① 働き方の自由度が高い

フリーランスの最大の魅力は、働く時間や場所を自分でコントロールできることです。通勤のストレスから解放され、在宅ワークや地方移住も現実的です。

② 収入アップの可能性がある

複数のクライアントと契約することで、会社員時代よりも収入が増えるケースも少なくありません。案件単価を自分で設定できるため、実力次第で年収1,000万円超えも可能です。

③ 得意分野・スキルを活かせる

経理業務のなかでも、会計・税務・財務分析など、自分の強みを活かして専門性を高めることができます。業界特化(例:IT業界専門の経理)も強みとなります。

④ 複数企業との接点が生まれる

様々な業種・規模の企業と関わることで、実務経験の幅が広がります。また、経営者と直接やりとりする機会が増え、視座が高まるという副次的効果もあります。

⑤ 仕事を自分で選べる

受ける案件の内容・報酬・条件を自分で判断して決定できるため、やりがいのある仕事に集中できます。仕事の優先順位や働き方を、自分の価値観に合わせて設計できます。

経理フリーランスのデメリット

一方で、経理フリーランスにはデメリットもあります。

主なデメリットは以下の通りです。

① 収入の不安定さ

案件の終了や契約解除などによって、月ごとの収入に大きな差が生まれるリスクがあります。繁忙期と閑散期の差も激しく、生活設計が難しいことも考えられます。

② 業務・経営の全責任を自分で負う

クライアントとの契約管理、請求・入金確認、税務対応、トラブル対応など、すべてを自分で行う必要があります。ミスの責任もすべて自分に返ってくるため、プレッシャーは小さくありません。

③ 孤独感や閉塞感

社内に同僚がいないため、相談できる相手がいない、孤立感を感じるという声も上がっています。特に一人作業が多いフリーランス経理職では、意識的に情報交換の場を持つ必要があります。

④ 社会保険・福利厚生の不備

会社員のような厚生年金や健康保険の手厚さはなく、すべて自己負担となります。病気や育児・介護などに対する備えも、自ら準備しておく必要があります。

⑤ 営業活動の負担

案件を獲得するためには、営業活動・SNS発信・ポートフォリオ整備などが欠かせません。特に駆け出しの時期は、実務以外の労力が大きくなりがちです。

メリットとデメリットは以下の様に整理されます。

項目 メリット デメリット
働き方の自由度 時間・場所に縛られず、柔軟な働き方ができる 自律的なスケジュール管理が求められ、オン・オフの切り替えが難しいこともある
収入 複数案件を同時に受けることで収入アップの可能性 案件の有無に左右され、収入が不安定になるリスクがある
業務内容の選択 自分の得意分野ややりたい仕事を選べる すべての責任を自身で負うため、苦手な業務も対応せざるを得ないことがある
経験・人脈 様々な企業と関わり、経験や人脈が広がる 社内チームがないため、孤独感を感じやすい
スキル活用・成長 得意分野を活かして専門性を高めることができる 自己研鑽を続けなければ市場価値が下がるリスク
社会保障 自分で内容を選べる(国保・国民年金 or 任意加入の保険など) 健康保険・厚生年金などの会社員向け福利厚生が使えない
営業・顧客管理 営業手法・価格設定・契約内容などを自分で決められる 案件獲得や契約交渉など、実務以外の負担が大きい
スケーラビリティ 工夫すれば高単価案件やチーム化などで事業拡大が可能 自分一人で回す間は時間的な限界があり、労働集約的になりやすい

経理フリーランスに求められるスキルと資格

上記のメリット、デメリットを踏まえ、経理フリーランスとして独立する際に求められるスキルと資格は以下の通りです。

① 基本的な経理スキル

日商簿記2級以上の資格や、企業での経理実務経験は大きな武器になります。会計ソフトの操作や経理業務の一連の流れを理解しておくことが不可欠です。

経理職で差をつけるためのおすすめ資格については以下の記事をご確認ください。

② IT・クラウドツールの理解

弥生会計、freee、マネーフォワードクラウドなどのクラウド会計ソフトを使いこなす力が求められます。リモート業務においては、ZoomやSlack、Google Driveの活用も重要です。

③ コミュニケーション能力

経営者や税理士、社労士とのやり取りが多く発生します。専門知識を分かりやすく伝える力、報連相を徹底する姿勢が信頼関係構築のカギになります

④ セルフマネジメント能力

納期管理、進捗管理、スケジューリングをすべて自分で行う必要があります。体調管理や時間の使い方も含めて「自分の上司は自分」という意識が大切です。

⑤ 営業力・提案力・問題解決力

単なる作業者ではなく、業務改善やフロー設計の提案ができると単価も信頼も上がります。自ら価値を提案できる力が、競合との差別化につながります。

分類 内容 解説
資格 日商簿記2級以上 経理業務全般の基礎知識として必須。3級でも記帳代行など一部業務で活用可能
税理士科目合格・会計士試験科目合格など 高度な税務や財務業務に携わる場合に有利
実務経験 企業の経理・会計部門での実務経験 決算、税務、会計ソフト操作など、実務に裏打ちされたスキルが信頼につながる
ITスキル クラウド会計ソフト(freee、MFクラウド、弥生など)の操作 クライアントの環境に応じて複数のソフトを使い分ける能力が求められる
リモートツール(Zoom、Slack、Google Driveなど)の活用 完全オンラインで業務を遂行する上での必須ツール
コミュニケーション力 経営者や税理士・社労士とのやりとり 報告・相談・提案など、わかりやすく正確な情報伝達が重要
営業力・提案力 自身のスキル・価値を明確に伝え、案件を獲得する力 価格交渉・業務提案・契約管理などを含む、ビジネススキル全般
タイムマネジメント 納期やタスクを自己管理できるスケジュール力 複数案件を並行処理する際に必須の能力
問題解決力 クライアントの課題を見つけ、業務改善やフロー設計などの提案ができる 単なる作業者から脱却し、"価値提供"できる人材として差別化可能
継続学習力 会計・税制・ITの変化にキャッチアップし続ける姿勢 市場価値を維持・向上させるために必要。セミナーや講座の受講なども有効

始める前に知っておくべきこと

経理フリーランスとしての独立を検討する場合、次の準備が必要となります。

営業・顧客開拓の手法を確立

紹介・口コミ、SNS活用、フリーランス向けプラットフォーム(例:ココナラ、クラウドワークス)など、自分に合った営業手法を模索する必要があります。

契約・報酬・税務の基礎知識

業務範囲・納期・報酬額を明確にした契約書の作成や、適正価格の見積もりが重要です。また、確定申告・インボイス制度・消費税の取り扱いなどの税務知識も不可欠です。

開業届・青色申告の手続き

開業時には税務署へ開業届を提出し、青色申告を選択することで65万円の特別控除を受けられます。記帳方法や会計ソフトの導入も併せて検討しましょう。

信頼構築のための姿勢

納期厳守・報連相の徹底・守秘義務の遵守がクライアントの信頼につながります。一度でも信用を失えば、次の案件に響く点は忘れてはいけません。

リスク対策・保険の検討

業務遂行中のトラブルに備えて、賠償責任保険などの加入も視野に。将来的な病気や老後を見据えた社会保険や年金の設計も重要です。

経理フリーランスを始める前のチェックリスト

【営業・顧客獲得】

☐ 仕事の獲得方法を検討した(紹介、SNS、クラウドソーシングなど)
☐ 実績やスキルを示すポートフォリオを用意した
☐ 自分の強み・専門領域を明確に言語化できる

【契約・報酬・税務知識】

☐ 契約書の雛形や条項内容を把握している(業務範囲、納期、報酬など)
☐ 適正な報酬設定の目安を持っている
☐ インボイス制度や源泉徴収などの税務知識を理解している

【開業・会計手続き】

☐ 税務署に「開業届」を提出した
☐ 「青色申告承認申請書」を提出し、特別控除の適用を受ける準備をした
☐ 会計ソフトを選定・導入した(freee、マネーフォワード、弥生など)

【信頼構築・業務対応】

☐ 納期厳守・丁寧な報連相を意識している
☐ 守秘義務や情報管理の重要性を理解している
☐ クライアントとの定期的な連絡・フィードバック体制を整えている

【リスク対策・将来設計】

☐ 業務遂行に関する損害賠償保険(フリーランス向けPL保険など)を検討した
☐ 国民年金・国民健康保険など社会保障の手続きを済ませた
☐ 将来の病気・老後に備えた資産形成・保険を検討している

【その他】

☐ スケジュール管理ツールを活用している
☐ SNSやブログなどの発信チャネルを確保した
☐ 相談できる仲間・税理士・士業のネットワークを持っている

経理フリーランスの市場動向と将来性

今後、経理フリーランスのニーズはさらに高まると予想されています。

在宅ワークの普及:企業側もリモートでのアウトソーシングに抵抗がなくなってきている
人材不足の補完:経理人材の採用難が続くなか、即戦力の外部人材へのニーズは増加
クラウド会計の進化:帳票業務が効率化され、遠隔での業務が容易に
地域に縛られない働き方:地方在住でも都市部の企業と契約可能に
高付加価値サービスへの移行:単純作業よりも、経営視点のアドバイスや業務改善提案のニーズが高まっている

市場は拡大フェーズにあり、専門性や信頼性を磨けば、高単価案件に繋がる可能性も十分にあります。

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まとめ

経理フリーランスは、自由度の高い働き方と高収入のチャンスを兼ね備えた魅力的なキャリアの一つです。しかし、自由と責任は表裏一体であり、収入の不安定さや業務外の負担といったデメリットも理解したうえで、自分に合った働き方かどうかを見極めることが大切です。

フリーランスとしてのキャリアを成功させるためには、日々のスキルアップと自己管理、信頼構築の積み重ねが不可欠です。

この記事がご参考になれば幸いです。

執筆 ・ 監修

平川 文菜(ねこころ)

熊本出身。2018年京都大学卒業。在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。