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経理の在宅勤務が難しいと言われる3つの理由と「できる方法」の見つけ方

公開日:2025/06/02

最終更新日:2025/06/02

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「どうして経理だけ出社なの?」
営業も総務もテレワークしているのに、経理部門だけがオフィスに残されている――そんな現場は少なくありません。
紙書類、ハンコ、機密情報……理由はわかるけれど、本当に在宅は無理なのでしょうか?
実は、すでに“できている”企業は多数存在します。
キーワードは、デジタル化・見極め・スキルアピール
本記事では、「経理の在宅勤務が難しいと言われる3つの理由」と、それを乗り越える「現実的な方法」を解説。
さらに、在宅経理の求人の探し方転職成功のコツまでを網羅。
経理職でも自由な働き方を実現したいあなたへ、具体策と道筋をお届けします。

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なぜ経理だけ在宅勤務が難しいのか?3つの代表的な壁

1. 紙ベース業務の多さ

経理業務では、請求書、領収書、会計伝票、契約書といった紙の書類が大量に発生します。紙書類を扱う業務では以下のような課題が生じます。

・書類確認のための出社
・ファイリングや押印、郵送作業
・保管場所の確保

実際、約68%の企業が「紙書類の確認」がテレワークの阻害要因になっていると回答しています。紙から脱却できない限り、経理の完全な在宅化は難しいままです。

2. ハンコ文化とアナログな承認フロー

経理業務には各種の承認が付き物です。

支払や経費精算の承認
決算資料の確認
契約書の押印 など

しかし、これらの承認作業は未だに紙と印鑑による回覧で行われているケースが多く、1件の承認に3〜5日かかることも珍しくありません。承認者の不在による停滞や書類紛失のリスクもあり、業務のスピードを著しく低下させています。

3. セキュリティ・コンプライアンスの懸念

経理部門は、以下のような高機密情報を日常的に扱います。

・財務データ
・社員の給与情報
・取引先情報
・会計システムへのアクセス情報

このため、多くの経理担当者が「情報漏洩や端末紛失が怖い」と在宅勤務に不安を感じています。78%の経理担当者がセキュリティへの懸念を持っているという調査結果もあり、万が一の際には法的責任を問われる可能性もあるため慎重にならざるを得ません。

経理の在宅勤務が困難な3つの理由


経理職の仕事内容については、以下の記事をご参照ください。

経理の在宅勤務を「できる」に変える3つのアプローチ

それでは、これらの課題をどう乗り越えるか?具体的なデジタル施策と実装方法をご紹介します。

アプローチ①:ペーパーレス化

紙書類の問題を根本的に解決するためには、電子化が不可欠です。

ツール例

・電子帳簿保存法対応システム
・OCR / AI-OCR(書類の自動読み取り)
・クラウドストレージ(Dropbox, Box等)
・電子契約サービス(クラウドサインなど)

実装ステップ

1.書類の棚卸しと優先順位の設定
2.対象業務の電子化
3.運用ルールの整備と社内周知

これにより、書類処理の工数を最大80%削減できた事例もあります。

アプローチ②:デジタル承認フロー

ハンコ文化を打破し、承認業務をオンライン化します。

活用ツール

・ワークフローシステム(ジョブカン、SmartHR等)
・電子決裁・電子署名ツール
・経費精算クラウド(freee、マネーフォワードなど)

実装ステップ

1.承認プロセスの可視化
2.電子承認ルールの策定
3.小規模導入と段階的拡大
4.社内教育の実施

承認にかかる時間を1/3以下に短縮した企業もあり、迅速な意思決定が可能になります。

アプローチ③:セキュリティ強化

情報漏洩や不正アクセスの不安を払拭するためには、堅牢なセキュリティ対策が求められます。

必須対策

・VPN・ゼロトラストネットワーク
・多要素認証(MFA)
・端末管理(MDM)
・データ暗号化

実装ステップ

1.リスク評価とポリシー策定
2.ツール導入と設定
3.継続的な監視と改善

セキュリティインシデントゼロを実現したIT企業の事例もあり、在宅勤務環境でも安全性は確保できます。

経理の在宅勤務を「できる」に変える3つのアプローチ


在宅勤務できる経理求人の探し方

「経理=出社」が当たり前だった時代は過去のもの。近年では、ペーパーレス化やクラウド会計の普及により、在宅勤務でも対応できる経理求人が確実に増えてきています。とはいえ、まだまだ数は限られており、探し方にもコツが必要です。ここでは、在宅可能な経理求人を見つけるための具体的な方法を解説します。

1. 「完全在宅」「リモートワーク可」などのキーワードで絞り込む

求人サイトでの検索時は、以下のようなキーワードを必ず使いましょう:

・「経理 完全在宅」
・「経理 フルリモート」
・「経理 在宅勤務可」
・「バックオフィス リモート」

特に「完全在宅」と「一部在宅」では働き方が大きく異なるため、希望条件を明確にしておくことが重要です。

2. 在宅経理の求人に強い転職サイト・エージェントを活用する

以下のような求人サービスは、在宅勤務対応の経理職も扱っていることで知られています。

サービス名 特徴
ミツカル アドバイザーを通じた在宅業務の紹介が可能
doda / リクナビNEXT 「在宅勤務可」で条件検索可能
会計求人プラス 会計・経理専門。在宅求人も一部掲載あり

経理職の職務経歴書の書き方については以下の記事をご参照ください。

3. 「フリーランス経理」という選択肢も視野に入れる

正社員にこだわらない場合、クラウド会計に対応できるスキルを活かして、フリーランスとして働くという方法もあります。以下のようなマッチングサービスを活用すると、在宅でできる経理業務を受託することが可能です。

ウドワークス
ランサーズ

特にfreeeやマネーフォワードなどのクラウドツールに慣れている人は、重宝されやすくなります。

4. 募集要項で「実際にどこまで在宅なのか」を確認する

「在宅勤務可」と記載があっても、実際には「週1出社」「月1で面談あり」「繁忙期は出社要請あり」など、制限付きの場合があります。応募前に以下の点をチェックしましょう。

完全在宅か、それとも一部出社ありか
出社頻度・理由(決算時だけ等)
使用している会計ソフト(クラウド型かオンプレ型か)
紙書類の取り扱いの有無
会社からPC貸与されるか、自前か

条件が曖昧な場合は、応募前に問い合わせるか、面接時に必ず確認することが大切です。

5. 求人が少ないと感じたら「経理+α」で探してみる

在宅経理は人気が高いため、競争率も高め。そこで「経理+人事」「経理+庶務」など、幅広くバックオフィス業務を担う職種も検討してみましょう。中小企業では1人が複数の役割を担うことも多く、フルリモートのポジションも比較的見つかりやすいです。

以下に「在宅勤務が可能な企業へ転職するためのコツ」という見出しに対応した詳細な解説を作成しました。

在宅勤務が可能な企業へ転職するためのコツ

「在宅勤務OK」と求人に書かれていても、実際に働きやすいかどうかは別問題。在宅勤務を希望する場合、単に“制度がある”企業ではなく、“制度が機能している”企業を見極めることが重要です。ここでは、在宅勤務可能な企業に転職するために知っておきたい5つのコツをご紹介します。

1. 「制度と実態」は別物。口コミ・社員インタビューを確認しよう

求人票には「在宅勤務可」と書かれていても、実際には形だけの制度というケースもあります。

チェックすべきポイント:

・OpenWorkや転職会議などの口コミサイトで「在宅勤務の実態」を確認
・企業サイトの社員インタビューや導入事例を読む
・SNSやブログで「○○社 在宅勤務 実態」と検索してみる

制度が“使われている”か、“使わせている”かの違いを見極めましょう

2. 「クラウド活用」と「ペーパーレス化」の有無を見極める

在宅経理を本当に実現している企業は、次のようなツールを活用しています。

業務領域 使用ツール例
会計処理 freee、マネーフォワード、弥生クラウドなど
経費精算 Concur、ジョブカン経費精算
承認業務 ワークフローシステム(例:SmartHR、kintone)
契約管理 クラウドサイン、DocuSign

企業説明会や面接で「どんなツールを使っていますか?」と具体的に聞くのが効果的です

3. 求人情報の「言い回し」から企業の温度感を読む

在宅勤務に積極的な企業は、求人にも“柔らかさ”や“本気度”が表れます。

積極的な企業の記述例:

・「フルリモート実施中(全国どこでも勤務可)」
・「Slack・Zoomを活用したオンラインコミュニケーションが活発です」
・「出社は年1回の全社会議のみ」

消極的な企業の記述例:

・「業務に応じて出社いただく場合があります」
・「リモートは応相談(要経験)」
・「試用期間中は出社となります」

文言から、どこまで“実質的”にリモートを許容しているかを見極めましょう

4. 「自律的に働ける人材」であることをアピールする

在宅勤務を希望する場合、企業はあなたに「自立して業務を進められるか?」を強く求めます。

履歴書・職務経歴書に入れたいアピール:

・「SlackやZoom等を使った非対面業務経験あり」
・「クラウド会計を使った経理業務の効率化を担当」
・「リモートチームでの業務進行・報告体制の構築経験」

単に「在宅希望」と書くだけでなく、“それができる理由”を示しましょう

5. 面接では「働き方」についての質問を遠慮しない

面接で「在宅勤務は可能ですか?」と聞くことに躊躇してしまう人もいますが、ミスマッチを防ぐためにも重要な確認ポイントです。

面接での質問例:

・「在宅勤務中の業務連絡や進捗管理はどのように行っていますか?」
・「チームメンバーとのコミュニケーションはどのツールを使っていますか?」
・「出社頻度の具体的な想定を教えてください」

企業側も、真剣に自社の制度を理解してくれる候補者を好む傾向があります

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まとめ

「どうして経理だけ出社なの?」
営業も総務もテレワークしているのに、経理部門だけがオフィスに残されている――そんな現場は少なくありません。
紙書類、ハンコ、機密情報……理由はわかるけれど、本当に在宅は無理なのでしょうか? 実は、すでに“できている”企業は多数存在します。
キーワードは、デジタル化・見極め・スキルアピール
本記事では、「経理の在宅勤務が難しいと言われる3つの理由」と、それを乗り越える「現実的な方法」を解説。
さらに、在宅経理の求人の探し方や転職成功のコツまでを網羅。
経理職でも自由な働き方を実現したいあなたへ、具体策と道筋をお届けします。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

平川 文菜(ねこころ)

熊本出身。2018年京都大学卒業。在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。