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【令和7年度(2025年度)税制改正】要注意!11月30日以前の準確定申告、改正適用には更正の請求が必要

公開日:2025/05/22

最終更新日:2025/06/07

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「もう申告済みだから大丈夫」――その油断が、納税者の不利益につながるかもしれません。
令和7年度税制改正により、準確定申告の取扱いが大きく変わりました。

特に、申告日が11月30日以前か12月1日以後かで、適用される制度が分かれる点は要注意です。
控除の適用漏れを救済できる一方で、更正の請求をしなければ新制度の恩恵は受けられません。
「あとから言っても無理です」と断る前に、制度を正しく理解して案内できる準備が必要です。

本記事では、更正の請求が必要なケースとその対応フローを実務目線で詳しく解説します。
添付書類のチェックから、窓口対応での説明例まで、現場職員に役立つ情報を網羅。
「説明に自信がない」「ミスを防ぎたい」そんな方にこそ、読んでいただきたい内容です。

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更正の請求と準確定申告

「もう申告済みだから大丈夫」――その油断が、納税者の不利益につながるかもしれません。
令和7年度税制改正により、準確定申告の取扱いが大きく変わりました。
特に、申告日が11月30日以前か12月1日以後かで、適用される制度が分かれる点は要注意です。
控除の適用漏れを救済できる一方で、更正の請求をしなければ新制度の恩恵は受けられません。
「あとから言っても無理です」と断る前に、制度を正しく理解して案内できる準備が必要です。
本記事では、更正の請求が必要なケースとその対応フローを実務目線で詳しく解説します。
添付書類のチェックから、窓口対応での説明例まで、現場職員に役立つ情報を網羅。
「説明に自信がない」「ミスを防ぎたい」そんな方にこそ、読んでいただきたい内容です。令和7年度税制改正では、相続が発生した場合の準確定申告に関する取り扱いに一部変更が加わります。特に、「申告日が11月30日以前か以後か」で適用される制度が異なるため、現場での確認と対応が重要です。

今回の改正では、

準確定申告において適用できる所得控除や税額控除の要件緩和
ただし、11月30日以前に申告済みの場合は自動適用されない
更正の請求が必要となるケースあり

というポイントが含まれています。

更正の請求とは?

「更正の請求」とは、納税者が申告した内容に誤りや適用漏れがあるときに、税務署に対して修正を求める手続きです。

基本事項

項目 内容
法的根拠 国税通則法 第23条
提出先 所轄の税務署長
提出期限 原則:法定申告期限から5年以内(特例あり)
必要書類 更正の請求書、添付書類(更正理由を示す証拠)


提出の主なケース(例)

・控除・特例の適用漏れ(例:医療費控除、配偶者控除)
・過大に所得を計上した場合
・準確定申告において新制度を適用したい場合(今回の改正に該当)

準確定申告の概要

準確定申告とは?

納税義務者が死亡した場合、その相続人が代わりに被相続人の所得税の申告を行う手続きです。
通常の確定申告とは異なり、申告期限や申告対象となる期間が異なります。

基本事項

項目 内容
対象者 被相続人(死亡した人)
提出者 相続人(複数人いる場合は連署)
対象期間 1月1日から死亡日までの所得
提出期限 死亡日から4か月以内


よくある申告内容

・給与所得、年金収入、事業所得など
・医療費控除、社会保険料控除
・所得税額控除(住宅ローン控除の継続など)

【令和7年度税制改正】新たな要件と注意点

改正の概要

令和7年度税制改正では、準確定申告における所得控除・税額控除の適用要件が一部緩和されました。
これにより、被相続人本人に限らず、相続人側の状況を反映した控除の適用が可能になる場面が出てきます。

改正のポイント(概要)

改正前 改正後(令和7年度〜)
所得控除・税額控除は「被相続人基準」で判断 一部の控除は「相続人の状況」も反映可
制度改正の周知が不十分なまま申告されるケースが懸念される 税務署窓口での案内・更正の請求指導が求められる


改正が準確定申告に与える影響

今回の改正が与える影響は、特に以下の控除項目で顕著です。

対象となる控除・特例の具体例

配偶者控除・扶養控除
 → 相続人の申告状況を踏まえ、控除対象とするか判断可能に。

医療費控除・社会保険料控除
 → 相続人が支払った分も、一定要件下で準確定申告に含められる。

住宅ローン控除(居住継続要件)
 → 相続直後の状況変化を考慮した柔軟な対応が求められる。

留意すべき実務ポイント(税務署対応)

・控除適用の根拠資料(支払証明・相続関係説明図など)の確認
申告日が令和6年12月1日以後かどうかの確認
11月30日以前の申告には更正の請求が必須であることの周知徹底
相続人の意向による過大控除に注意し、適正範囲を確認

適用判断の比較表

申告日 改正の内容 控除の適用 対応方法
令和6年11月30日以前 従前の制度 被相続人基準 更正の請求が必要
令和6年12月1日以後 改正後制度 相続人の支払や要件も一部反映可能 準確定申告で自動適用


更正の請求が必要な場合とその手続き

どのような場合に更正の請求が必要か

令和7年度税制改正では、準確定申告における控除の取扱いが一部変更されました。しかし、申告日が令和6年11月30日以前の場合は、改正内容が自動適用されません

そのため、既に旧制度で申告済みの納税者が新制度の控除等を適用したい場合には、「更正の請求」が必要となります。

更正の請求が必要となる典型例

準確定申告を令和6年11月30日以前に提出し、
 ・配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除などを従前制度で適用していた場合
 ・相続人が支払った医療費や保険料を控除に含めなかった場合
・誤って所得を過大に申告していたことが判明した場合
・税額計算に誤りがあったことに気付いた場合
・控除の適用漏れや、適用条件の誤認があった場合

更正の請求の具体的な手続き方法

基本的な流れ

1.「更正の請求書」の作成
 ・国税庁のフォーマットを使用(e-Taxまたは紙で提出可能)
 ・更正を求める税目、課税期間、訂正内容を記載

2.訂正理由と添付資料の準備
 ・控除の追加であれば、控除証明書や支払証明書、相続関係書類などが必要
 ・新制度の適用であれば、相続人の支払実態や関係図の提出が有効

3.提出先税務署へ提出
 ・所轄税務署の窓口、郵送、またはe-Taxによる提出

4.審査後に更正通知書が交付される(内容により、照会対応あり)

提出書類の一例(控除適用漏れの場合)

書類名 内容・備考
更正の請求書 所得税用(第一表)
控除証明書 医療費控除明細書、保険料控除証明書など
支払証明 銀行振込明細、領収書等(相続人支払の場合)
相続関係説明図 被相続人と相続人の関係を示す図解


提出期限と関連法規

更正の請求には、明確な提出期限があります。期限を過ぎた場合は、原則として請求は認められません。

更正の請求の期限

区分 提出期限 備考
所得税(準確定申告含む) 法定申告期限から5年以内 被相続人の死亡日から4か月以内が申告期限。その5年後が更正の請求期限
特例(災害等) 通常の期限を超えても請求可能 国税庁長官の承認が必要な場合あり


関連法規(参考)

国税通則法 第23条:更正の請求の根拠規定
所得税法 第120条・121条:更正・決定・請求に関する規定
準確定申告関連:所得税法 第124条

準確定申告と更正の請求の関係性

準確定申告は、被相続人(死亡した人)の所得について、相続人が代わりに行う申告です。
令和7年度の税制改正により、準確定申告における所得控除・税額控除の一部が緩和されましたが、申告日によって制度の適用が分かれます

申告日と制度適用の関係

申告日 適用制度 更正の請求の要否
令和6年11月30日以前 旧制度(改正前) 必要(新制度を適用したい場合)
令和6年12月1日以後 新制度(改正後) 不要(自動適用)


関係性のポイント

更正の請求は、「改正内容を遡って適用したい」という場合に必要
つまり、準確定申告をした日が早すぎると制度恩恵を受けられない→更正の請求が必要という構図
税務署の受付対応と案内内容が今後の課題

実務担当者が留意すべきポイント

1.申告日で制度適用が異なる点を正確に把握

11月30日以前に提出された準確定申告 → 改正前の制度が適用される
12月1日以後の準確定申告 → 改正後の緩和要件が適用される

申告受付日を必ず確認・記録すること
✅ 窓口や電話での問い合わせ時も、最初に申告日を確認

2.「更正の請求」が必要なケースを正確に案内

・11月30日以前に申告済みで、改正後の控除を適用したい場合は、更正の請求が必要
・更正の請求がなければ、旧制度のまま課税処理されるため、納税者にとって不利益になる可能性あり

一律「出し直せばOK」と案内しないこと(申告済み=法定申告期限を過ぎているため)
✅ 提出期限(申告期限から5年以内)を確認し、間に合うかを見極める

3.添付書類と内容の整合性を精査

更正の請求には「合理的な理由」が必要です。形式だけでなく、実態面からの確認も重要です。

・医療費控除 → 誰が支払ったのか?相続人名義での支払か?
・扶養控除 → 生計維持関係があったのか?
・相続人が支払った保険料・医療費等 → 実際の支出者の確認が必要

「控除証明書」「領収書」「振込明細」など、証拠性のある資料が添付されているかチェック
✅ 不足があれば、速やかに補正指導

4.納税者トラブルを防ぐ説明対応

納税者が「改正されたのに控除できないのはおかしい」と感じやすいため、丁寧な制度説明が不可欠。

想定される納税者の誤解

誤解内容 実際の対応
「新制度ができたから、自動で適用されるはず」 → 申告日によっては更正の請求が必要である旨を説明
「控除証明書を今出せばいいだけ」 → 申告後であるため、訂正には更正の請求という別の手続きが必要と説明
「税務署が適用してくれるでしょ?」 → 自動では適用できず、本人からの請求が必要であることを丁寧に案内


✅ 窓口用に「改正後の適用条件」「更正の請求の流れ」を図解した資料を備えておくと有効
✅ 電話対応マニュアルやFAQの整備も検討

5.申告書入力・審査時の留意事項(内部処理)

・改正適用可否を明確にチェック(11月30日以前の申告で新制度が適用されていないか)
・更正の請求があった場合は、申告書控えと照合し、控除増減項目の整合性を確認
電子申告・紙申告のいずれも、「申告受付日」が基準となることに注意

✅ 審査システムへの正確なデータ入力
✅ 管理簿・照会記録の明確化

6.文書指導のテンプレート・案内文の整備

以下のような文書を整備しておくと、対応がスムーズになります。

・更正の請求が必要な場合の案内文テンプレート(控除内容別に用意)
・添付書類一覧チェックシート
・よくある質問と回答(FAQ形式)

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【令和7年度(2025年度)税制改正】要注意!11月30日以前の準確定申告、改正適用には更正の請求が必要 -まとめ

令和7年度税制改正により、準確定申告における所得控除や税額控除の一部が緩和されましたが、その適用は申告日によって分かれるため注意が必要です。
特に、令和6年11月30日以前に提出された準確定申告には、改正内容が自動適用されず、更正の請求が必要となるケースがあります。

税務署実務においては、

・申告日の確認
・更正の請求の要否判断と案内
・添付資料の精査
・正確な内部処理

が求められます。

納税者とのトラブルや誤課税を防ぐためにも、改正内容の正確な理解と現場対応マニュアルの整備が重要です。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

平川 文菜(ねこころ)

熊本出身。2018年京都大学卒業。在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。