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税理士1人あたりの売上はいくら?平均額と成功事務所の特徴を徹底解説


公開日:2025/08/21
最終更新日:2025/08/21
INDEX
税理士業界で独立・開業を目指す人や、すでに事務所を経営している方にとって、「税理士1人あたりの売上」は重要な指標です。
売上水準は事務所の規模や業務内容、顧客層、地域性によって大きく異なりますが、業界全体の平均や成功事務所の事例を知ることで、自身の事務所運営の改善ポイントが見えてきます。
本記事では、
・税理士1人あたりの売上の平均額
・高売上を実現している事務所の特徴
・売上アップの具体的戦略
まで、徹底的に解説します。
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税理士1人あたりの売上の平均額
1. 業界平均の目安
税理士事務所の売上データは、TKC経営指標や日本税理士会連合会の調査、コンサルティング会社の業界レポートなどから確認できます。
統計によると、税理士1人あたりの年間売上は1,500万円〜2,500万円程度が一般的なレンジです。
規模・形態 | 年間売上(税理士1人あたり) | 備考 |
小規模事務所(職員5名未満) | 1,200〜1,800万円 | 顧問料中心、価格競争が激しい |
中規模事務所(職員10〜20名) | 2,000〜3,000万円 | 相続・資産税やコンサルも提供 |
大規模事務所(職員30名以上) | 3,000万円以上 | 高単価案件、法人クライアント多数 |
※ここでの「税理士1人あたり売上」は、純粋な資格者数で割った金額です。補助者やパート職員は含みません。
2. 平均が低く見える理由
「税理士1人あたり年間1,500〜2,500万円」と聞くと、想像よりも低く感じる方も多いかもしれません。
この背景には、業界特有の構造的な要因があります。
(1) 顧問料の単価下落
近年、クラウド会計ソフトの普及や、格安料金を打ち出すオンライン型税理士事務所の台頭により、顧問料の価格競争が激化しています。
かつて月額3万円だった顧問契約が、今では1万円台で提供されるケースも珍しくありません。
この単価下落が、売上平均値を押し下げる大きな要因です。
(2) 小規模顧客層が中心
日本の法人の約9割が中小企業・小規模法人であり、税理士事務所の顧客も個人事業主や年商数千万円規模の法人が大多数を占めます。
こうした顧客層は税務顧問の報酬が低めに設定される傾向があり、売上規模を押し上げにくいのが現状です。
(3) 高単価業務を行わない事務所が多い
相続税申告や事業承継コンサル、M&A支援などは1件あたり数百万円規模の報酬を得られる可能性があります。
しかし、これらの業務は専門知識や営業力が必要で、全体の一部の事務所しか取り扱っていません。
結果として、業界全体の平均単価は高くなりにくいのです。
(4) 所長税理士の稼働制限
特に小規模事務所では、所長税理士が営業・顧客対応・事務管理・職員教育など、直接売上につながらない業務に多くの時間を割いているケースが多いです。
実務にフル稼働できる時間が限られるため、売上効率はどうしても下がります。
成功している税理士事務所の特徴
1. 高単価業務の比率が高い
売上上位に位置する事務所は、顧問料収入だけに依存せず、相続税申告・組織再編・事業承継コンサルティングなどの高付加価値業務を積極的に取り扱っています。
例えば、相続税申告の場合、1件あたり50〜100万円の報酬を得られるケースが多く、顧問料中心の事務所と比べて1件あたりの売上インパクトが大きくなります。
また、事業承継コンサルでは案件規模によって数百万円単位の契約になることもあり、こうした案件を年数件獲得するだけで、業界平均を大きく上回る売上を確保できます。
2. 顧客層が明確に絞られている
誰でも顧客にする」スタンスよりも、特定業種・特定規模・特定ニーズにターゲットを絞る方が、単価・成約率ともに向上します。
理由は、専門性を打ち出すことで「この分野ならこの事務所」というブランドを築けるためです。
具体例としては以下のような絞り込みがあります。
・ITスタートアップ専門
株式発行や資本政策、ストックオプション設計などの知見を武器に高単価契約を実現。
・年商1億円以上の中小企業特化
経営計画策定や財務分析も含めた包括的支援により、月額顧問料が相場より高く設定可能。
・富裕層の資産管理特化
不動産、株式、海外資産など複雑な税務案件に対応し、1案件あたりの報酬が高額化。
このように顧客層を明確にすることで、価格競争に巻き込まれにくくなります。
3. 業務の効率化が進んでいる
売上を伸ばす事務所は、所長税理士が細かい作業に追われず、経営判断・営業活動・高付加価値業務に専念できる体制を構築しています。
具体的な取り組み例は以下の通りです。
・クラウド会計ソフトの活用(freee、マネーフォワード)
記帳や仕訳の自動化により、職員の入力作業時間を大幅削減。
・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
給与計算や請求書発行など定型業務を自動化し、人的ミスも減少。
・チャットボット・自動返信メール
よくある質問や書類提出依頼を自動化し、顧客対応の負担を軽減。
こうした効率化により、同じ人員でも担当顧客数を増やすことが可能になります。
4. 強力な営業チャネルを持つ
成功事務所は、顧客獲得の入り口を紹介だけに依存せず、複数のチャネルを確保しています。
従来型の「既存顧客からの紹介」に加え、以下のような施策を実施しています。
・ウェブ集客(SEO対策)
「業種+税理士」や「地域+相続」などのキーワードで上位表示を狙い、見込み客の流入を増やす。
・セミナー開催
事業承継や補助金活用セミナーを開催し、参加者を顧客化。
・提携先からの送客
金融機関、不動産会社、弁護士など他業種とのネットワークから紹介案件を継続的に獲得。
・SNS発信(X・Instagram・YouTube)
税務知識や経営ノウハウを発信して信頼を構築し、問い合わせにつなげる。
特に近年は、SNS経由で法人顧客を獲得する事務所も増えており、オンライン集客が売上拡大の鍵になっています。
税理士1人あたり売上を上げる具体的戦略10選
戦略No. | 戦略名 |
1 | 顧問料単価を上げる |
2 | 高単価案件を導入する |
3 | 業務の標準化と外注化 |
4 | 顧客層の絞り込みと特化戦略 |
5 | クロスセル・アップセル戦略 |
6 | 集客チャネルの多様化 |
7 | 紹介制度の強化 |
8 | IT・自動化ツールの活用 |
9 | ブランド力向上(専門家ポジションの確立) |
10 | 顧客満足度向上による契約維持・単価上昇 |
1. 顧問料単価を上げる
同じ顧客数でも売上を伸ばすためには、顧問料単価の引き上げが有効です。
具体的にはサービスをパッケージ化し、例えば「スタンダード3万円/プレミアム5万円」のように上位プランを設定します。上位プランには「経営相談」「補助金情報提供」「決算予測」などの追加価値を盛り込み、契約更新時に改定を案内します。
単価を3万円から5万円に上げられれば、顧客数が変わらなくても売上は約1.67倍に増加します。
2. 高単価案件を導入する
短期間で売上を大きく伸ばすには、高額報酬が見込める案件を取り入れることが有効です。
代表例としては、相続税申告(50〜150万円)、事業承継・M&Aコンサル(100〜300万円)、国際税務(50〜200万円)などがあります。まずは1分野を選び集中し、金融機関や不動産会社への営業を通じて案件を獲得。成功事例を作り、それを発信することで更なる受注につなげます。顧問料数年分の売上を1件で確保できる可能性があります。
3. 業務の標準化と外注化
所長税理士が高単価業務に集中できるよう、定型業務は標準化・外注化します。
記帳や給与計算などの作業を外部委託し、業務マニュアルやチェックリストを整備することで品質を保ちます。これにより、月20〜30時間程度の時間を創出し、営業やコンサル業務に充てられるようになります。
4. 顧客層の絞り込みと特化戦略
ターゲットを明確に絞ることで、単価と成約率を向上させます。
例えば「ITベンチャー専門」「年商1億円以上の法人特化」など、利益率が高く専門性を活かせる層を選定します。顧客属性の分析を行い、選んだ層に特化したウェブサイトや提案資料を作成すれば、価格競争から脱却できます。
5. クロスセル・アップセル戦略
既存顧客からの売上を拡大する方法です。
顧問先に対して、節税対策、資産管理、補助金申請サポートなどの追加サービスを提案します。決算後や契約更新時などのタイミングで提案し、成約後には効果をフィードバックすることで信頼関係を深め、継続的な追加契約につなげます。
6. 集客チャネルの多様化
新規顧客を安定的に獲得するため、複数の集客チャネルを構築します。
SEOを意識したブログ更新(月1〜2本)、ウェビナーやYouTube配信、業界団体セミナー登壇などが効果的です。まずは「○○市 税理士」などの地域・業種キーワードをリスト化し、月次でコンテンツ発信を計画。他士業との共同セミナーも集客力を高めます。
7. 紹介制度の強化
低コストで質の高い顧客を獲得するには、紹介制度の活用が有効です。
顧問先や提携先に対して、紹介1件につき商品券やサービス割引を提供し、四半期ごとにお礼と成果報告を行います。成功事例を共有することで、再度の紹介を促せます。紹介案件は成約率・単価ともに高い傾向があります。
8. IT・自動化ツールの活用
業務効率を高めることで、同じ時間で処理できる案件数を増やします。
クラウド会計(freee、マネーフォワード)、RPAによる通帳CSV加工や仕訳登録、AIによる契約書ドラフトや顧問先Q&A自動化などを導入します。業務フローを可視化し、手作業部分に自動化ツールを導入することで、処理能力を2倍に引き上げられるケースもあります。
9. ブランド力向上(専門家ポジション確立)
専門家としてのポジションを確立すれば、指名案件や高単価受注が可能になります。
得意分野を明確にし、専門書籍の執筆や寄稿、メディア出演、SNSでの専門テーマ発信を行います。プロフィールやホームページに専門実績を掲載し、月1回以上は知識発信を継続することで、「この分野ならこの事務所」という評価を築けます。
10. 顧客満足度向上による契約維持・単価上昇
解約を防ぎ、長期的な契約と単価向上を目指します。
半期ごとの経営報告会や顧問先専用ニュースレター、小さな相談にも迅速に対応することで顧客満足度を高めます。定期的なアンケートを実施して改善点を反映し、満足度の高い顧客には追加提案を行えば、解約率の低下と契約継続年数の延伸が期待できます。
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まとめ
・税理士1人あたりの年間売上は1,500〜2,500万円が平均
・高収益事務所は高単価業務比率が高く、顧客層を絞っている
・売上アップには単価アップ・高単価業務導入・業務効率化・集客多様化が不可欠
自事務所の現状を把握し、上位事務所の特徴を参考に戦略的に改善することで、売上は確実に伸ばせます。

平川 文菜(ねこころ)