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【2025年版】中小企業省力化投資補助金とは?対象・申請方法・活用例を解説

公開日:2025/05/27

最終更新日:2025/05/28

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中小企業の“人手不足”と“業務効率化”という課題に直面している顧問先はいませんか?
その悩みに、国が本気で支援を始めました。
――それが「中小企業省力化投資補助金」です。
2025年度から制度が拡充され、最大1億円の補助が可能な「一般型」も新設。
税理士として、今こそこの制度を使いこなすチャンスです。
申請の流れは?必要書類は?どんな設備が対象なの?
そう聞かれたとき、自信を持って答えられる準備はできていますか?
本記事では、申請支援に必要な情報を体系的に整理し、顧問先の成長を後押しするための実務的ヒントをお届けします。

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中小企業省力化投資補助金とは?

「中小企業省力化投資補助金」は、人手不足や生産性向上の課題に直面する中小企業を支援するための制度です。2025年度(令和7年度)には、従来の「カタログ型」に加えて「一般型」が新設され、制度内容が大幅に拡充されました

補助金の概要と目的

この補助金は、中小企業がIoT、ロボット、AI、クラウドサービスなどの省力化設備を導入する際の費用を支援する制度です。目的は、業務の効率化や生産性の向上を通じて、従業員一人あたりの付加価値額の増加や賃上げを実現し、企業の持続的成長をサポートすることです。

中小企業省力化投資補助金


2025年の変更点

1. 一般型の新設

従来の「カタログ型」は、登録された製品から選択する方式でしたが、2025年度からは「一般型」が新設されました。一般型では、企業が自社の業務に合わせたオーダーメイドの設備やシステムを導入することが可能となり、より柔軟な支援が受けられます。

2. 補助上限額の拡大

一般型では、従業員数に応じて補助上限額が設定され、最大で1億円の補助が受けられます。また、大幅な賃上げを行う企業には、補助上限額の上乗せや補助率の引き上げが適用されます。

3. カタログ型の制度改正

カタログ型では、販売事業者の登録要件が緩和され、製造事業者からの招待が不要となりました。また、補助上限額の決定基準が、製造事業者の販売実績から販売事業者の販売実績に変更されました。

対象となる事業やシステム

「中小企業省力化投資補助金」は、人手不足や業務効率化に悩む中小企業・小規模事業者を支援するための制度です。2025年度からは、従来の「カタログ注文型」に加えて「一般型」が新設され、より多様なニーズに対応可能となりました。

一般型とカタログ注文型の違い

項目 一般型 カタログ注文型
投資内容 オーダーメイド性のある多様な省力化投資 カタログに掲載された省力化効果のある汎用製品
補助対象 個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築 カタログに掲載された省力化製品
補助上限額 最大1億円 最大1,500万円
申請手続き 自由度が高いが、審査基準も厳しい 申請手続きが簡単で、迅速な審査が期待できる
対象事業者 中小企業・小規模事業者等 中小企業・小規模事業者等


対象となる業種・事業

補助金の対象となる事業やシステムは、以下のような省力化に資するものが含まれます。

生産・業務プロセスの省力化・自動化:人手不足解消に有効な設備を導入する事業。
IoT・ロボット・AI等を活用した新たな取り組み:製造ライン自動化、サービス業の受付・決済の無人化システム導入など。

具体的には、以下のような設備やシステムが対象となります。

配膳ロボット:飲食サービス業、宿泊業での配膳・下膳業務の効率化。
自動倉庫:製造業、倉庫業、卸売業、小売業での保管・在庫管理、入出庫の自動化。
検品・仕分けシステム:倉庫業、製造業、卸売業、小売業での検品・仕分け業務の効率化。
無人搬送車(AGV・AMR):倉庫業、製造業、卸売業、小売業での資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫の自動化。
スチームコンベクションオーブン:飲食サービス業、宿泊業、小売業での調理業務の効率化。
券売機(食券販売機):飲食サービス業での注文受付の効率化。
自動チェックイン機:宿泊業での受付案内、予約管理、請求・支払、顧客対応の効率化。
自動精算機:飲食サービス業、小売業での請求・支払業務の効率化。

補助金の対象となる業種や事業は、導入する設備やシステムにより異なります。一般的には、製造業、倉庫業、卸売業、小売業、飲食サービス業、宿泊業など、多岐にわたります。ただし、導入する設備やシステムが対応する業種と申請者の業種が少なくとも1つ一致することが条件です。主たる業種が異なる場合でも、対象業種を一部でも営んでいれば申請が可能です。

区分 一般型 カタログ注文型
投資対象 自社業務に応じた設備・システムの導入(オーダーメイド) あらかじめ登録された製品を選んで導入(カタログ方式)
対象となる設備例 AGV・AMR、自動倉庫、自動検品機、配膳ロボット、AIシステムなど 券売機、スチームコンベクション、配膳ロボット、自動精算機など
補助上限額 最大1億円(従業員数や賃上げ条件に応じて変動) 最大1,500万円(従業員数に応じて変動)
補助率 中小企業:1/2以内
小規模事業者等:2/3以内
同上
導入の自由度 高い(機器選定自由、要件を満たす必要あり) 低い(カタログ製品に限定)
審査 書類審査+加点・減点制度あり(計画内容重視) 簡易審査(要件を満たせば原則採択)
申請難易度 高め(事業計画作成や要件確認が必要) 低め(選択・申請のみで済む)
想定される利用企業 複雑な業務改革やシステム化を図る中堅・中小企業 簡易な業務効率化を目指す小規模事業者

申請の流れと必要書類

申請手続きのステップバイステップガイド

中小企業省力化投資補助金の申請は、以下のステップで進めます。準備から交付まで、各段階で必要な手続きと書類の提出が求められます。

ステップ1:GビズIDプライムアカウントの取得

・電子申請には「GビズIDプライム」が必須です
・登録には印鑑証明書の提出が必要なため、2週間以上かかる場合もあります

ステップ2:公募要領・申請要件の確認

・公式サイトで公募要領を入手
・対象経費・補助率・申請期間・要件(賃上げや省力化要件)を必ず確認

ステップ3:事業計画の策定

・省力化の具体的な効果や導入の背景、期待される業務改善内容を記載
・賃上げ要件などの加点項目も意識すると採択率が上がります

ステップ4:設備やシステムの見積書・仕様書の取得

・補助対象の設備に関する価格・スペックが記載された資料を用意
・一般型では特に導入効果の説明が重要になります

ステップ5:必要書類の準備

・決算書や納税証明書など、法人の基礎情報に関する書類を揃える
・詳細は次項の「必要書類一覧」参照

ステップ6:電子申請

・GビズIDでログインし、事業計画や必要書類をシステム上から提出
・提出後に修正はできないため、事前にしっかりと確認を

ステップ7:審査と採択結果の通知

・提出内容に基づき、事務局が審査を行います(通常1~2か月)
・採択されると「交付決定通知書」が届きます

ステップ8:事業実施・実績報告

・実際に設備・システムを導入、支払い完了後に「実績報告書」を提出
・請求書や振込証明書なども必要です

ステップ9:補助金請求・受領

・実績報告が認められれば補助金の請求が可能
・精算が完了した後、口座に補助金が振り込まれます

ステップ 内容 補足・ポイント
Step 1 GビズIDプライムアカウントを取得 電子申請には必須。取得までに2週間程度かかることも
Step 2 補助金公式サイトで最新の公募要領を確認 事業スケジュール・補助対象・要件を必ずチェック
Step 3 補助事業計画の策定 製品の導入目的・効果(省力化、生産性向上)を明確に記述
Step 4 見積書・仕様書の取得 対象設備・システムの詳細・価格を明示する
Step 5 必要書類の準備(下記一覧参照) 法人番号、決算書、納税証明書なども含む
Step 6 電子申請システムにて提出 GビズIDでログインして申請、添付書類もオンラインで提出可能
Step 7 審査・採択結果の通知(通常1~2か月程度) 採択された場合、交付決定通知書が届く
Step 8 補助事業の実施(導入・支払・報告) 設備導入完了後、実績報告書と支払証憑を提出
Step 9 補助金の請求と受取 実績報告が認められた後に補助金が交付される

申請に必要な書類一覧

補助金の申請には、以下の書類を用意する必要があります。一般型・カタログ型ともに基本的には共通です。

事業計画書
 └ 導入目的、業務改善内容、省力化効果、賃上げ計画などを記載

見積書・仕様書(カタログ)
 └ 対象設備やシステムの価格や機能が分かる資料

会社案内(パンフレット)など
 └ 事業内容が把握できる資料があれば添付

直近2期分の決算書
 └ 貸借対照表、損益計算書など

納税証明書(その1)
 └ 国税または地方税の未納がないことを示す証明

履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
 └ 法務局で取得(3か月以内)

GビズIDプライムアカウント
 └ 電子申請に必要なアカウント

誓約書・チェックリスト等(様式指定あり)
 └ 公募要領に添付されている様式をダウンロードして記入

書類名 概要・備考
① 事業計画書 自社の課題、導入設備、効果、今後の展望などを記載
② 見積書 補助対象となる設備やサービスの金額がわかる資料
③ 仕様書またはカタログ資料 製品やシステムの詳細がわかる資料
④ 会社案内・パンフレット等 会社の事業内容がわかる資料
⑤ 決算書(直近2期分) 貸借対照表、損益計算書、事業報告書など
⑥ 納税証明書 国税・地方税の未納がないことを証明する書類(その1または納税証明)
⑦ 履歴事項全部証明書 法務局発行の登記簿謄本
⑧ GビズIDプライムアカウント 電子申請に必要なID(事前取得必須)
⑨ 誓約書・チェックリスト等 公募要領に基づいた様式あり(PDFまたはExcel)

よくある質問と回答

Q1. 自社の業種が対象になるか分かりません。どう判断すればいいですか?
A. 公式サイトにて「対象業種一覧」が公表されています。導入する製品に対応した業種が1つでも該当すれば申請可能です。カタログ注文型では、製品ごとに想定される業種が明示されています。

Q2. GビズIDプライムが間に合わない場合、申請はどうなりますか?
A. 申請時点でGビズIDプライムが取得済みである必要があります。未取得の場合は申請できません。通常2〜3週間の余裕を見て準備してください。

Q3. カタログ注文型の製品は複数選べますか?
A. 複数の製品を組み合わせて申請することは可能です。ただし、すべてが省力化要件を満たすことが条件です。

Q4. 補助金が採択されても、途中で機器を変更できますか?
A. 原則として変更は認められません。やむを得ない事情がある場合は、事前に事務局に相談し、変更申請手続きを行う必要があります。

Q5. 採択された後、いつ補助金が支払われますか?
A. 実績報告書の提出と確認が完了した後、支払手続きが開始されます。支払までには数週間〜数か月かかることがあります。

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まとめ

中小企業省力化投資補助金は、2025年度から「一般型」と「カタログ注文型」の2類型で展開され、幅広い業種に対応可能な制度へと進化しています。人手不足解消や生産性向上を目的に、ロボット・AI・自動化システムなどの導入費用が補助対象となり、上限1億円の支援が受けられるケースもあります。

税理士としては、クライアントの投資計画に対する制度適用可否の助言はもちろん、申請に必要な財務書類や賃上げ要件への対応、GビズID取得の支援など、実務面で多角的なサポートが可能です。とくに、申請内容が不備なく整っていなければ採択率は大きく低下するため、税理士による事前確認・伴走支援の価値は高まっています。

顧問先の「攻めの投資」に貢献するためにも、本補助金の概要、申請の流れ、対象設備や業種、メリット・デメリットをしっかり押さえておくことが重要です。

この記事がお役に立てば幸いです。

執筆 ・ 監修

平川 文菜(ねこころ)

熊本出身。2018年京都大学卒業。在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。