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所属税理士とは?ほかの税理士との比較やキャリアアップ方法まで徹底解説

公開日:2025/02/14

最終更新日:2025/02/21

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「税理士に3種類もある?!」

「所属税理士って何?」

「所属税理士のメリット・デメリットって何?」

「所属税理士からのキャリアパスってどんな感じ?」

こんな疑問を持っている方必見!今回は所属税理士を中心に仕事内容やメリット・デメリットを説明していきます。

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税理士には3種類ある?!

税理士には「開業税理士」「社員税理士」「所属税理士」の3種類があるのをご存じでしたか?今回は所属税理士について詳しく説明していきますが、その前に「開業税理士」と「社員税理士」も簡潔に説明します。

税理士の種類は3つ:
1.所属税理士: 税理士事務所や企業に所属して業務を行う。安定した給与と福利厚生があり、チームで働く環境だが、自由度は低い。
2.社員税理士: 税理士法人で共同経営者として働き、安定した収入が得られ、経営経験が積めるが、個別の税理士業務を受注できない。
3.開業税理士: 独立して事務所を構え、個別に税務サービスを提供。自由度が高いが、リスクも伴う。

所属税理士とは?

所属税理士とは、税理士事務所や会計事務所に所属し、そこで税務や会計の専門業務を行う税理士のことを指します。所属税理士は社員税理士組織同様、組織の一員として働いて、さまざまなクライアントに対して税務申告や会計監査、経営コンサルティングなどの業務を行います。所属税理士は、特定の組織に属しているため、安定した給与や福利厚生を受けられる点が大きな特徴です。

所属税理士の役割は多岐にわたり、クライアントの税務戦略をサポートしたり、日常的な会計業務を担当したりします。また、所属する事務所の方針やクライアントのニーズに応じて、業務内容が変動することがあるため、柔軟な対応が求められると言えます。

さらに、所属税理士は事務所内の他の税理士や会計士とチームを組んで業務を進めることが多く、チームワークやコミュニケーション能力も重要です。組織内での役割分担やプロジェクト管理を通じて、自身のキャリアアップを図ることも可能です。

このように、所属税理士として働くと、税務や会計の専門知識を深めつつ、組織の一員として安定した職場環境で経験を積むことができるため、特に組織で働きたい方には最適な選択肢だと言えます。ただし、独立した税理士と比べて、業務の自由度が低い場合もあるため、自分に合った働き方を見極めることが重要です。

社員税理士とは:

社員税理士とは、税理士法人の中の役員として登録されている人のことです。株式会社で考えると、社員税理士は「取締役」のイメージが一番近いと言えます。なので、ここでいう「社員」は会社社員とは違って、「役員」というところがポイントです。言い換えると税理士法人で共同経営をする人のことを社員税理士と言います。

経営をするなら、開業税理士のように個人事業主になったほうがいいのでは?社員税理士って必要なの?という疑問が出てくると思います。それは、税理士法人(会社)を作るには税理士(社員)が2人必要なため、開業税理士のように個人事業主ではなく、税理士法人の共同経営者となる税理士が必要になります。よって、社員税理士は安定した収入かつ経営の経験を求める方にとっては魅力的な選択肢だと言えます。

ここで注意しておきたいポイントとして、社員税理士としては個人的に税理士業務を受注することは禁止されていますが、法人と業務を受けることは可能という点です。これは社員税理士として働く中では念頭に置いておきたいところです。

開業税理士とは:

開業税理士は、税理士として独立して事務所を構え、クライアントに税務サービスを提供する専門家です。開業税理士は税務申告の代行や税務相談、経営コンサルティングなどの業務を通じて、企業や個人の税務に関わります。開業税理士は、自ら顧客を開拓し、サービスの提供範囲を決定することができるため、自身の事業戦略や専門分野に応じた柔軟な働き方ができるのがメリットと言えます。

「開業税理士」・「社員税理士」・「所属税理士」の違いまとめ

開業税理士は、自身の事務所を開設し、独立して業務を行います。開業税理士は顧客の獲得から経営、業務全般を自分で管理するため、自由度が高い一方でリスクも伴います。

社員税理士は税理士法人の役員として働くので開業税理士に比べたら経営リスクは少ないといえます。給与も安定しており、法人内での協力体制のもとで業務を行うことができ、経営経験も得られるのが特徴です。

所属税理士は税理士事務所や企業に所属し、指示に基づいて業務を行います。独立性は低いものの、専門的なスキルを磨く機会が多く、一定の収入が保証されることが利点です。収入面では、所属税理士の平均年収は500万円~700万円程度が一般的とされていますが、これは企業の規模や地域、個人のスキルと経験によって変動します。

独立性・柔軟性 リスク 安定した収入
開業税理士
社員税理士
所属税理士

これらの違いを理解することで、税理士としてのキャリア選択が広がると思います。それぞれの特徴を考慮し、自分のライフスタイルやキャリア目標に合った道を選ぶことで、長期的な成功を手に入れることができます。

それぞれの違いを理解したうえで、次は所属税理士として働くメリットとデメリットを確認していきましょう。

所属税理士には責任が少ない?所属税理士のメリットとデメリットとは?

所属税理士として働くことは以下のようなメリット・デメリットがあります。

所属税理士のメリット 所属税理士のデメリット
・安定した収入と雇用が保証されている。
・事務所内でのチームワークを発揮し、指導を受けられ、専門知識を深めることができる。
・顧客獲得の手間が省け、業務に集中できる。
・自分のやりたい業務に集中できない場合がある。
・キャリアパスや給与が事務所の評価基準に依存する。
・独立性がないため、自由度が制限される。

所属税理士のメリット

メリットとして挙げられるのは、安定した収入と雇用が保証されている点です。税理士事務所に所属することで、開業税理士と比べて個人営業の不安定さがないため、収入への不安がなくなり、日々の業務に専念することができます。業務に集中できるのは、税理士になりたての方や専門知識を得たい人にとって大きなメリットだと言えます。

また、事務所内でのチームワークを発揮し、先輩税理士からの指導を受けられるのも所属税理士のメリットです。先輩のアドバイスなどを聞くことで、自分のスキルや知識を向上させることができるため、成長スピードが速いとも考えられます。所属税理士は、開業税理士と違い、事務所が持つクライアントを担当するため、顧客を開拓する手間がありません。

そのため、顧客獲得に費やす時間が少なく、その分税理士としてのスキルアップに集中できるのは、所属税理士の最大のメリットと言えるでしょう。

所属税理士のデメリット

一方で、デメリットもいくつか存在します。業務範囲が事務所の方針やクライアントに依存するため、「自分のやりたい業務に集中できない!」となるケースもあります。

さらに、給与や昇進などのキャリアパスが事務所内の評価基準や経営状況に影響されるため、年収が低いと感じるケースや思うようなキャリアパスに進めないこともあります。

また、所属税理士としての働き方は、開業税理士のような独立性や柔軟性に欠けるため、独自のビジネススタイルを築くことが難しいと感じる方もいるかもしれません。事務所の方針に従わざるを得ない場面も多く、自由度が制限されることが、所属税理士の大きな課題と言えるでしょう。

所属税理士に向いている人とは?

所属税理士はこんな人におすすめ!

・チームで働くのが好き
・リスクが少ない環境で経験を積みたい
・専門知識を深めたい
・ワークライフバランスを大切にしたい

所属税理士に向いている人には主に4つの共通点があります。

まず1つ目は、チームワークが得意な人です。所属税理士は、事務所内の他の税理士や会計士と業務を進めることが多いため、チームで働くのが好きな人におすすめです。業務を円滑に進めるためには、コミュニケーションや協調性が重要になってきます。組織の一員として働くことで充実感を得られる方には向いていると言えるでしょう。

2つ目は、安定した環境で働きたいと考えている方です。所属税理士は、開業税理士と比較してクライアントの獲得や管理の責任が少なく、組織からの安定的な業務提供が期待できるため、リスクを抑えながら税理士としてのキャリアを積みたいと考える方には向いていると言えます。

3つ目に、税理士の専門知識を深めたい方です。特定の税務分野に特化した法人に所属することで、特定の業務に集中し、専門知識を深めることができます。これにより、その分野でのスペシャリストとしての地位を築くことができます。

4つ目は、ワークライフバランスを重視する人です。組織によっては、働き方の柔軟性や福利厚生が充実している場合があり、個々のライフステージに応じた働き方が可能です。これにより、仕事とプライベートの両立を図りたい人にとって魅力的な選択肢となります。

所属税理士は直接顧問契約を受任できるの?

はい、できます!
顧問契約を結ぶことで、単独で税務相談や税務署の調査立ち合い、税務申告、確定申告などの業務に携わることができます。直接受任することで、できる仕事の範囲が広がるだけでなく、安定した収入も期待できます。

しかし、所属税理士が直接受任を行う場合、いくつか気を付けておくべきポイントがあります。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

所属税理士が直接受任する場合、押さえておくべきポイントとは:

1)所属している所長の承認を得る

顧問契約を結びたい場合、所属税理士は所属している所長の承認を得なければなりません。多くの税理士事務所では、所属税理士が直接受任することを禁止している場合があります。そのため、契約書に記載されていないかを見直すことをおすすめします。

もし、禁止されていない場合でも、承認は必要です。承認なしで顧問契約を結ぶと、改正税理士法施行規則第1条第2項に違反することになります。

2)顧問契約内容と事務所契約内容のトラブル

所属税理士が顧問契約を結ぶ際には、事務所との契約内容をよく確認し、事務所の契約と矛盾していないかを確認する必要があります。もし契約内容が異なった場合、競業避止義務に抵触する可能性があるため、制約内容が一致していることを確認しておく必要があります。

3)前事務所との競業問題

所属税理士が独立や転職をし、前事務所で契約を結んでいた顧客と直接受任する場合、それが競業に当たるとみなされることがあります。この点も注意しておきたいポイントです。

所属税理士の年収はいくらぐらいもらえる?

所属税理士の平均年収は600万円前後と言われています。しかし、経験年数や所属する事務所の規模によって変動があります。

一方、役員で責任が多い社員税理士の平均年収は900万円前後だとも言われています。所属税理士と比較すると、約300万円前後の違いがあることがわかります。税理士としてある程度経験を積むと、収入アップを目指したり、異なる経験に挑戦してみたくなることもあるでしょう。

そこで、次は所属税理士としてのキャリアパスについて詳しく見ていきましょう。

所属税理士の年収:
平均年収は約600万円前後。経験年数や事務所の規模、地域によって変動する。

所属税理士からのキャリアパスは?

所属税理士として経験を積むことで、業界の知識や実務能力が向上し、クライアントとの信頼関係も深まります。この経験を活かして、次のステップとして社員税理士や開業税理士になる道があります。

開業税理士になると、個人事務所を構え、独自の方針で業務を行うことができ、働き方によっては自由が増えることもあります。社員税理士や開業税理士は、独立心が強い方や今後自分の事務所を開業したいと考えている人にとって魅力的な選択肢となります。

所属税理士からのキャリアパス:
1.社員税理士
2.開業税理士
3.企業の財務部門
所属税理士からそれぞれのキャリアパスについて詳しく解説していきます。

所属税理士から社員税理士になるには?

Step 1: 所属税理士としての基礎経験

税務申告業務(確定申告書など)や経理支援など、基本的な税理士業務を担当し、税務に関する知識や実務経験を積みます。他の税理士やスタッフとの協力を通じて、専門知識を深め、業務の幅を広げます。

Step 2: 専門分野の選定

所属税理士として一定の経験を積んだ後、税務申告業務、相続税、法人税、M&A、税務調査対応など、特定の分野に特化した知識を深めることができます。より高度な知識を身につけ、専門分野での信頼性を高めることで、社員税理士としての地位を確立することが可能です。

Step 3: 税理士事務所内でのポジションアップ

事務所内で実績を積み、シニア税理士や主任税理士など、上級ポジションに昇進する可能性があります。経験を積み、部門を統括する役職やマネジメント業務を任されることもあります。マネジメント業務を通じて、社員税理士に必要なリーダーシップスキルが身に付きます。

Step 4: 社員税理士への移行

社員税理士は、顧問契約を締結するなど、責任範囲が広がります。所属税理士から社員税理士に転職する場合、顧客の獲得や実務のリーダーシップが求められることが多いため、税務知識だけでなく、顧客対応やチームマネジメントスキルも重要になります。

この4つのステップが所属税理士から社員税理士になるための一例ですが、必要なスキルや経験のイメージがつかめたのではないでしょうか?所属税理士と比べて、社員税理士には、経験はもちろん、専門知識の他に、チームマネジメントやコミュニケーション能力も求められることがわかります。

所属税理士から開業税理士になるには?

所属税理士が近い将来開業したいと思っている場合、社員税理士になるためのStep 1〜4が重要です。それに加えて、開業に向けての準備も必要となります。

開業準備とは? どのようなことをすればよいのか?

まず、事務所を構える場所選びや、開業する地域やターゲットとなる業界、顧客層などの業務計画、開業資金が必要となります。そのほか、開業には、税理士として開業届や税理士事務所の登録が必要です。法人化する場合は、法人登記や税務署への届出なども行う必要があります。

冒頭で説明したように、開業税理士は自分で顧客を集めなければならないため、SNSやホームページを活用した集客や、地域のネットワークイベントに参加するなどして、開業初期から顧客を獲得します。

所属税理士から一般企業の財務部門へ

所属税理士から一般企業の財務部門へのキャリアパスは、税理士としての知識や経験を活かし、企業の財務業務に転職する道です。税理士としての税務知識や経営に関する理解を企業の財務戦略に活かすことができます。

Step 1: 税理士業務での基礎経験

所属税理士として、税務申告書の作成、税務相談、経理支援などの業務を通じて、税務や会計の基礎をしっかり学びます。経理や財務管理の知識を深め、企業経営に必要なスキルを養います。複数の業種や顧客に対応する中で、財務面での問題解決能力を身につけます。

Step 2: 財務関連の知識の強化

財務諸表の分析やキャッシュフロー管理、資金調達など、財務の基本的な知識を学び、実務で活かすスキルを磨きます。必要に応じて、CFO(最高財務責任者)業務や財務管理に関する書籍や講座でさらに学ぶことも重要です。企業内での実務経験がなくても、税理士としての知識が財務部門でも通用する点を意識していきます。

Step 3: 転職活動の準備

企業の財務部門で求められるスキルや知識の理解を深めます。企業のニーズに合わせた履歴書や職務経歴書を作成する必要があります。特に、税理士として培った税務戦略や財務諸表の理解、税務調査対応経験などは企業にとって価値のあるスキルなので、これらをしっかりとアピールすることが重要です。特に、企業側が求める財務報告や予算策定などの経験があれば、大きなメリットになりますので、積極的にアピールしましょう。

Step 4: 企業の財務部門での業務理解

履歴書や職務経歴書がどんなに優れていても、企業での業務理解がなければ、そのスキルや知識が活かせません。企業での業務理解も忘れずに行いましょう。例えば、財務部門では予算管理、資金繰り管理、キャッシュフロー計算書の作成、資本政策など、企業の経営戦略に密接に関わる業務が求められます。また、財務分析や経営戦略の立案を行い、企業の収益性やコスト削減のサポートをすることも求められます。

企業の財務部門へ転職後のキャリアアップ

財務担当としての経験を積む中で、財務部門のリーダーや経理部門の責任者として昇進する可能性があります。また、将来的には最高財務責任者(CFO)として、企業の財務戦略を統括する役割を担うこともできます。これにより、企業内での戦略的財務管理や企業価値向上のための資本政策に関する業務に携わることができます。

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所属税理士とは?ほかの税理士との比較やキャリアアップ方法 -まとめ

この記事を通じて、税理士の3つの形態である開業税理士、社員税理士、所属税理士の特徴やそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説しました。

それぞれの税理士には異なる役割や責任があり、自分のキャリア目標に合わせて選ぶことが重要です。開業税理士は独立して自由に業務を行える反面、経営面でのリスクも伴います。社員税理士は法人の経営に携わることで経営の知識も得られる一方で、法人経営に関わるため責任が所属税理士とは違って重くなります。所属税理士は他の税理士法人や事務所に所属し、専門的なスキルを活かしつつ、組織のサポートを受けられるのが最大のメリットです。

また、所属税理士のメリットとデメリットを踏まえ、どのような人が所属税理士に向いているのか、さらに所属税理士からのキャリアパスについても触れました。所属税理士は、専門性を高めつつ安定した環境で働きたい人にメリットだらけとも言えます。

最終的には、自分のライフスタイルや価値観に合った道を選ぶことが成功への鍵となります。税理士としてどの形態を選ぶにしても、常に学び続ける姿勢が求められます。この記事が、あなたのキャリア選択に役立つガイドとなれば幸いです。税理士としての未来を築くために、自分に合った選択をし、充実したキャリアを歩んでいってください。

執筆 ・ 監修

平川 文菜(ねこころ)

熊本出身。2018年京都大学卒業。在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格を果たす。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。